2008年6月30日月曜日

2008年カンヌ⑫「FILM LIONS」②

本日は2008年カンヌ「フィルム部門」で「GOLD」を受賞した
炭酸飲料「SCHWEPPES(シュウェップス)」のTVCM事例。

「水風船が割れる瞬間」など「水がはじけ飛ぶ」様々なシーンが
「毎秒1万コマ」の「超ハイスピードカメラ」で撮影された
「超スローモーション」な映像で次々と展開されていきます。





このCMはおそらくSONY「BRAVIA」のバイラルCMから
インスパイアされて制作されたCMである気がしますし、
「超ハイスピードカメラ」を使用するという
「技術先行」で制作されたCMではあるかもしれませんが、
それでもこのCMは今年のカンヌ「フィルム部門」の中でも
個人的にはかなり好きなCMでした。

タグラインもシンプルでグッと来る感じがします。
タグライン【a moment of】


何よりも、このちょっと不思議で幻想的な映像に
引き込まれつつも、炭酸飲料「シュウェップス」の
「炭酸がはじける」『シズル感』が右脳的に
「シュパーッ」と伝わってくる感じがしました。



「シュウェップス」は、そのネーミングの「語感」および
「音相」が、とても炭酸飲料っぽくて秀逸であると
以前から思っておりました。

「シュ」で始まり「ウェ」と来て「ップス」で締める、
完璧な音の響きを持つネーミングである様に感じます。

「音相」に関する考察は、そのうちまとめて特集したいと
思っておりますが、上記のTVCMは
そんな「シュウェップス」の「はじける炭酸」な感じを
とても良く表現しているCMであると思いました。

2008年6月29日日曜日

2008年カンヌ⑪「FILM LIONS」①

本日は2008年カンヌの「フィルム部門」の
受賞作の中から個人的に気になった事例です。

「BRONZE」を受賞したコロンビア制作のCMで、
商品は4WDの自動車「LUV DMAX TRUCK」です。

実際の豪雨の日に、激流に逆らって走ることが出来るくらいに
パワーがある自動車だ、ということを
ハンディビデオの荒い映像でドキュメント的に訴求。





「実際の災害の映像」を出すという点では若干問題が
あるかとは思いますが、それでもこの4WDの走行性の
「パワフルさ」は、ヘンに作りこまれた世界観で
「いかにも広告です」という感じで訴求されるよりも
リアルに伝わってくる感じがしました。
乱暴だけど訴求力は高い広告であるように思います。

2008年6月28日土曜日

2008年カンヌ⑩「CYBER LIONS」②

本日もサイバー部門の受賞作の中から気になった事例です。

「SILVER」を受賞したCRISPIN PORTER+BOGUSKY制作の
宅配ピザ「ドミノピザ」の「BFD BUILDER」という事例。

Webサイト上で「好きな具を自分の思うようにトッピング」
してから注文しても「30分以内」に配達するという
「Webサイトと実際のサービス」を組み合わせた事例です。

↓ClickHere!
http://vendor.cpbinteractive.com/bfd/



今年のサイバー部門の受賞作の中では、かなりジミな
事例に見えますが、昨日の「実況ジェネレーター」も
そうでしたが、個人的にはWebのコンテンツは
『実用性』が重要なカギになる気がしています。

2008年6月27日金曜日

2008年カンヌ⑨「CYBER LIONS」①

2008年カンヌ特集、本日は「サイバー部門」ですが
グランプリの「UNIQLOCK」は、あらゆる所で賞賛されていると
思われますので、個人的に気になった他の事例である
「BRONZE」を受賞した日本の「GT」制作の
「実況ジェネレーター」の事例を取り上げさせて頂きます。

この事例は、サイト上にハンディカムで録画したサッカーの
試合などの映像に「プロの実況と解説」を組み合わせることが
出来るという大変ユニークなWebコンテンツです。

↓ClickHere!
http://www.projectblue.sony.jp/jikkyo/index.html





この「実況ジェネレーター」は
今年のTIAA(東京インタラクティブアドアワード)では
受賞を逃してファイナリストでしたが、
個人的には最も優れた広告だなと思っておりました。

たぶんもし自分が今子供だったら、自分が出てる映像に
実況がつけられたら最高にうれしいと思うことでしょう。

ただ「SONYな感じ」が、若干しないのが残念ですが
それをのぞけば個人的には大変優れた事例であると感じましたし
大変勉強になりました。

2008年6月26日木曜日

2008年カンヌ⑧「PRESS LIONS」②

2008年カンヌ特集、本日は「グラフィック広告」部門で
「SILVER」を受賞したドイツの「DDB」が制作した
「VOLKSWAGEN」の「駐車が簡単になるシステム」の事例。





「自動車の後部に運転席がある」かのごとく
簡単に「バックで駐車」することが出来ることを
シュールかつ明快に価値が伝わるビジュアルで訴求。

私個人的にとっては、この広告が今年のプレス部門グランプリです。

2008年6月25日水曜日

2008年カンヌ⑦「PRESS LIONS」①

2008年カンヌ特集、本日は「グラフィック広告」部門で
「silver」を受賞したタイの「OGAWA ELECTRIC」の事例。

部屋の中で「料理をしても」「タバコを吸っても」
「強力な換気扇」で「外に煙を吹き出せる」という点を
「外壁から突き出た腕」というビジュアルギミックで表現。





この広告事例の様に「不可解なビジュアル」を見せて、
一瞬「え?何これ」と思ってもらい、そして右下の商品を見ることで
「あーそういういことか」と思わすという
「2ステップ」のコミュニケーショ話法は、海外では大変多く見られます。

日本ではこの表現話法は「回りくどい」とか「お遊びだ」などの
「否定的意見」が多い気がしますが、個人的にはうまくハマれば
「能動的に広告に接触してもらえる度」が上がる気がします。
心理学における「認知的不協和理論」を巧妙に応用した
「説得技法」の様に思えます。
(実際にただ単に「遊んでる」だけの表現もあるとは思いますが)

この事例の場合は、コミュニケーションの速度こそ遅いですが、
十分この換気扇の「機能ベネフィット」である「風力パワー」を
訴求出来ているように思います。

2008年6月24日火曜日

2008年カンヌ⑥「DESIGN LIONS」

2008年カンヌ特集6日目の本日は
「DESIGN LIONS」のグランプリを受賞した
「コカコーラ」の一連の素晴らしいアートディレクション。



コカコーラの様に、かなり歴史がある「メガブランド」が、
ここまで鮮やかにイメージチェンジするというのは
想像を絶するほど大変なことだと思われます。



個人的には、「メッセージ型」の広告が好きですが、
この事例の様に、理屈っぽいことをつべこべ訴求せずに
「エモーショナルブランディング」手法で
ブランド強化をするというのは、時に効果的であり
私自身のマインドの中においても「コカコーラブランド」が
かなりフレッシュに感じるようになりました。

2008年6月23日月曜日

2008年カンヌ⑤「OUTDOOR LIONS」

2008年カンヌ特集、5日目の本日は
ポスターやOOHなどを扱う「アウトドア部門」で
「bronze」を受賞したインドの「ANANDO MILK 」の事例。



“インド国内で子供たちは「牛乳は退屈な飲み物だ」と思ってた”
というインサイトを破壊するために「牛乳を飲むとパワーが出る」
という点を クレイジーに訴求。

巨大なビルを「だるま落とし」の様に動かすことが出来るという
壮大で楽しい表現を、実際の高層ビルに「巨大OOH」を
掲出することで訴求。

2008年6月22日日曜日

2008年カンヌ④「MEDIA LIONS」

2008年カンヌ特集4日目の本日は
メディア部門でbronzeを受賞した
インドの「音楽学校」のOOH事例。
制作エージェンシーは最近インドに注力している感じがする
WPPグループの「OGILVY & MATHER, Kolkata」。



電信柱の「電線」を音楽の「五線譜」に見立てて
たくさんの「♪音符」を配置。



多くの人が考えそうなアイディアである気がしますが、
シンプルかつ音楽の楽しさが伝わってくるので
個人的には好きな感じです。

2008年6月21日土曜日

2008年カンヌ③「RADIO LIONS」

本日は2008年カンヌ特集 の3日目
「ラジオ部門」のグランプリを受賞された
電通制作の「キャノンEOS」のラジオCM事例。
↓ClickHere!
http://www.canneslions.com/winners/radio/

(以下ナレーション原稿です)
「・・・息子が運動会で一瞬先頭に立った・・・」
「・・・特大の花火がベランダから見えた・・・」
「・・・ジェットコースターで子供が手を振っていた・・・」
「・・・新郎が新婦を抱っこしてチュウした・・・」
「・・・うちのデブネコがジャンプした・・・」
「・・・水着がポロリ・・・」
「・・・バンジージャンプで夫がダイブ・・・
 戻ってきた・・・また落ちた・・・」
「・・・妻が久しぶりに笑った・・・五年ぶりに笑った・・・
 一瞬笑った・・・気がする・・・」
NA:撮りたいものは待ってくれない。起動時間約0.2秒。
  「EOS Kissデジタル」キャノンマーケティングジャパン。

カンヌ国際広告祭は、英語圏の国々が圧倒的に
イニシアチブを持っているため日本はラジオ部門では
かなり受賞するのが困難だと勝手に思っておりましたが、
受賞どころか「グランプリ」まで受賞するという快挙を
成し遂げられて本当にスゴイことだと思いました。

電通のクリエイティブ内には中山幸雄さんを中心とした
「ラジオ虎の穴」という社内プロジェクトがあり、
このキャノンのCMを制作された山本渉さんや
MEDIA部門でgoldを受賞された張間純一さんが
↓ClickHere!
http://www.canneslions.com/winners/media/win_2_1_00715.htm
同プロジェクトのメンバーでした。

広告代理店内においては例え電通の様にかなりハイレベルな
クリエイターが大勢いる会社であっても大半の仕事は
クリエイティブ的に一筋縄ではいかないものが多いと思われます。

電通の社内には以前にも「CMクラブ」と言って
通常業務とは別に志が高いクリエイターの人たちが集まって
企画力を磨きあう社内プロジェクトがあったそうで、
現在タグボートの多田琢さんなどがそのプロジェクトをきっかけにして
チャンスをつかんでいかれたそうです。

通常業務をしっかりこなすことは重要であると思いますが、
多くの業務は、どうしても過去の残像をなぞって
消費者には機能しにくい広告を
つくらざるをえない傾向が強いと思います。

消費者を本当に突き動かして未来を切り開く様な広告は
意識的に開発する努力をしていないと、
なかなか出現しにくいと思います。
人間は油断すると目に映った世界だけを信用して
そこに安住し風化する傾向がある様に思いますし。

「ラジオ虎の穴」はそういった電通クリエイティブ内における
意識改革プロジェクトの現在系であり、そのプロジェクトから
2人もカンヌ受賞者が出る(フィルム部門がまだ残ってますので
増える可能性もありますが)という偉大な結果を残されて
本当にスゴイことだと思いました。

2008年6月20日金曜日

2008年カンヌ②「DIRECT LIONS」

2008年カンヌ特集、2日目の本日は
「DIRECT LIONS」というダイレクトメールなど
直接的に消費者の行動を促す広告制作物のカテゴリーで
「bronze」を受賞した『ENJOY THE GAME』という事例。

広告主はオンラインカジノの「888.COM」。
エージェンシーはイギリスの「CHI&PARTNERS,London」。

街中のあらゆる現象を「賭けの対象」に見立てることで
ギャンブルの楽しさを顕在化させるキャンペーンです。

事例①『このポスターがイタズラ書きされるまでに
     どれくらいかかると思いますか?』




事例②『誰が最初に(この電車を)降りると思いますか?』



参加型のキャンペーンの肝は、やはり「くだらなさ」で
ある様に思います。

「DIRECT LIONS」のその他の受賞作は、
以下のアドレスをクリックしてご覧ください。
↓ClickHere!
http://www.canneslions.com/winners/direct/win_1_1.htm

2008年6月19日木曜日

2008年カンヌ①「PROMO LIONS」

本日から「2008年カンヌ」受賞作の中で
気になった事例を取り上げさせていただきます。

初日の本日は「PROMO LIONS」という販売促進カテゴリーで
「gold」を受賞した「HATCH AN EGG」の事例。
広告主は「ダウンジャケット」など「アウトドア商品」を
あつかう「PLAYGROUND」。



キャンペーンコピーは
「IS IT POSSIBLE TO HATCH AN EGG IN A DOWN JACKET?」
ダウンジャケットで鳥の卵は孵化するか?


この事例はユニークな「イベント」を中核にして
様々なメディアを使用したキャンペーンにより、
ダウンジャケットの「保温機能」を世の中的に
ちょっとした「事件」にしています。

「販売促進」の施策は(仕方がないかもしれませんが)
どうしても直接的なものが多いですが
ユーモアやアイディアを巧妙に用いることでも
十分販売促進に貢献できる場合もあると思います。
21世紀型の新しい販促事例だと思いました。

ちなみにこのキャンペーンを実施した後、
このダウンジャケットの売上は「5倍」になったそうです。



「PROMO LIONS」のその他の受賞作は
以下のアドレスをクリックしてご覧ください。
↓ClickHere!
http://www.canneslions.com/winners/promo/win_1_1.htm

2008年6月18日水曜日

面白い商品陳列。

本日もユニークな商品陳列事例。



“ビールを買う人は「おつまみ」も一緒に買う可能性が高い”
というデータに基づいたと思われる商品陳列事例。

ユニークで効果がありそうな事例だとは思いますが
昨日の「キットカット」と違って「おつまみ」は冷やされると
若干シズル感が減退する気もします。

明日から2008年カンヌ特集の予定です。

2008年6月17日火曜日

すごい発想の商品陳列。

本日は「キットカット」の大変創造的な商品陳列事例。



「チョコレートは冷えてた方がおいしい」という
ごく当たり前のインサイトを忠実に反映した商品陳列。

一見ジミな事例に見えますが、個人的にはこの事例から
「破壊的なクリエイティビティ」を感じます。
出来そうで出来ない発想であると思います。
販売にダイレクトに貢献する創造的な販促事例。

2008年6月16日月曜日

冗談がキツイ広告。

本日は、かなり冗談がキツイ雑誌広告事例。
表現は全部で4パターンありますが、
どれも左側の「さえない感じの男性」が
ダイヤをプレゼントされた後には
女性の目には右側の男性の様にハンサムに見える
という「女性の視点」で構成された
ビフォアーアフター広告です。

【事例①】


【事例②】


【事例③】


【事例④】


「性格が悪いと思われる人」が考えた感じがする表現って
個人的にはなんか魅力的な感じがします。

2008年6月15日日曜日

疾走するバイクの雑誌広告。

本日はオートバイのユニークな雑誌広告事例。




見開き2ページの雑誌広告の左端ページが
疾走するバイクの風圧でめくれているかの様な
ビジュアルレトリックにより
バイクで駆け抜ける楽しさを表現。

クリエイティビティを効果的に活用すれば
広告メッセージをかなり深く届けることが可能であることを
再確認する事例だと思いました。

2008年6月14日土曜日

かなりシュールなバイラル映像。

バイラル特集は昨日で終わりましたが、
本日もバイラル映像の事例です。

結構前にオガワくんのブログで紹介されていた
かなり衝撃的な映像ですので、ぜひともご覧ください。



なんか、なんと言っていいかわかりませんが、
背筋が寒くなりませんでしたか?

この事例に関してはオガワくんのブログをご覧ください。
http://beatanything.jugem.jp/?eid=66

それとWebでは良くあるパターンですが、
人気が出た映像には、必ずと言っていいほど
パロディ映像が次々とアップされますが、
以下の映像は超くだらないパロディ映像ですので
ご覧いただけますか。



こちらもオガワくんのブログで解説されているのでご覧下さい。
http://beatanything.jugem.jp/?eid=68

2008年6月13日金曜日

バイラルCM⑤海外事例3

バイラルCM特集、最終日の本日は
「とんがった」バイラルCM事例です。
まずは、合計4本の事例をご覧いただけますか。

事例①川にダイナマイトを放り込んで出来た波で
   サーフィンをする若者たち。
  [広告主:サーフィンブランド]



事例②駅構内のかなり長いエスカレーターの上から
   スキー板を履いて滑り降りる男。
  [広告主:スキーブランド]



事例③エアフォースワン(アメリカ大統領・専用旅客機)に
   スプレーでイタズラ書きをする。
  [広告主:ストリート系ファッション]
   ※このバイラルCMはかなり長いです。



事例④スーパーで買い物カゴに様々な商品を投げ入れる
   お客さんたち。
  [広告主:?]



これらのバイラルCM事例に共通する点の一つとして
どれもとんがっていて「クール」かつ「アンダーグランド」な
印象の表現であることが挙げられると思います。

もちろん上記の事例は「広告主自体」がとんがってますし、
これらの表現トーンが、あらゆる業種の広告主に
適用するのはムリがあるとは思いますが、
しかし昨今の若者は、昔と違ってインターネットの影響なのか、
とんがっている人の数が増えている様に感じます。

マス媒体で広告表現を制作する場合は、
かなりいろいろな層の人たちが見ることを想定しているので
受け手の広告読解能力を「かなり低く見積もって」
制作される場合が多いです。

広告制作の現場において、
「この表現、私は意味がわかるけど受け手はわからないでしょ」
みたいな会話は結構多くて、とんがり度をそぎ落とし過ぎた結果
誰の心も動かしえない表現になることも多々あります。

また、これまでのマス媒体での広告表現は、
どうしても上から物を申すような、どこかいばった表現に
なりやすかったと思いますが、バイラルCMにおいては
受け手の感受性をリスペクトした抑制の効いた表現の方が
イイ気がします。

「どうだお前ら面白いだろ、笑えー!」みたいな
「笑わせる」という上に立つ様な「支配的な広告話法」でなく、
むしろ道化に徹して「笑われる」ような
「ホスピタリティ精神」が溢れる広告話法の方がイイ感じがします。

もちろん何でもかんでもとんがれば良いわけではありませんが
現状は、とんがるべき状況でとんがらないケースの方が
圧倒的に多いと思います。

トイレタリー(日用雑貨)という、かなりとんがりにくいと
言われている業種の中でも「P&G」などは近年、世界的に
そして日本市場でも表現を研ぎ澄まし始めた様に感じます。

デビッドオグルビーの名言で
「消費者はバカではない。だってあなたの奥さんも消費者だから。」
というのがありますが現在その傾向は、
さらに顕著になってきたと思います。

「バイラルCM」は、表現が過激すぎて「ブランド」を
破壊しかねない問題もありますが、慎重にコントロールしながら
活用していけばマーケティングにおける大きな武器になると思います。

インターネットは「個人」を「エンパワー」して
「あらゆる関係性」を「対等にする」という強烈な力学を
もったメディアであると思われますので、
インターネットを活用した広告を行う際は、
いばってはいけないどころか、過剰に謙虚になるくらいの方が
健全なコミュニケーションが成立しやすい気がします。

マスコミュニケーションでは情報発信側の方がどうしても
「上にたちやすい」と思いますが、
バイラルCMは、その意味で広がるかどうかの「イニシアチブ」が
受け手である「個人の側」にあり、「対等で健全」な
リレーションシップをつくりあげていくために
とても重要なメディア手法になりえる気がします。


※同じ会社の丸原くんが本日の「事例④」に関しての詳細を
 教えてくれたのでコピペいたします。
スーパーで物を投げ入れるCM、
スポンサーはヨーロッパでいち早く
フェアトレード(公正な貿易)のラベルを
普及させた団体「マックスハベラー」です。

フランス語のコピーでは、
命令形でこう言ってます。
「あなたたちの買物の仕方を本当に変えるために、
 フェアトレードのお店に立ち寄りなさい!」

フェアトレードといえば、
これまで「やさしさ」アプローチ、
あるいは「搾取をやめろ」アプローチが
ほとんだったのですが、
「お前らの買い物、狂ってるぞ!」
と挑戦的な表現で言い切るこのCMは驚きでした。

ある程度立場のある
ソーシャル系の団体が
こういった乱暴な表現を採用している
というところをみると、
海外はバイラルの効果に対する認識が
かなり高まっているんでしょうね。

2008年6月12日木曜日

バイラルCM④海外事例2

バイラルCM特集4日目の本日は、
ご存知の方がかなり多いと思われますが
バイラル特集で外すわけにはいきませんので
「SONYブラビア」と「ユニリーバDOVE」という
「メジャーな」バイラルCM事例を取り上げさせて頂きます。

どれもかなり有名なCMですので、もうさんざん見られた
という方は飛ばしてください。

【SONY BRAVIA「BALLS」】


【SONY BRAVIA「PAINT」】


【SONY BRAVIA「Bunnies」】


【Unilever DOVE「Evolution」】


【Unilever DOVE「onslaught」】


これらのバイラルCMに関する情報は
Webで検索して頂くとたくさんヒットすると思いますので
省略させていただきます。

これらの事例に共通する点は、テレビなどのマス媒体で
オンエアするよりも先行してインターネット上で
「一部のとんがった人たち」からまずは火がついて、
Web上で口コミになってそこからバイラル拡散が
始まって、最後の総仕上げとしてテレビなどのマス媒体を
使用したという点が重要だと思われます。

以下、東洋経済社「ライブマーケティング」より抜粋。
「非マスメディア主導・マスメディアで補完」
情報やモノに囲まれた現在の生活者にとって、
マスメディアという不特定多数へのリーチ型のメッセージは、
依然として認知効果はあっても、それがそのまま
購買に繋がらない。非マスメディアを有効に活用し、
特定セグメントの「こだわり」にアプローチし
「強い事実」をまず創る。そしてその「事実」をもとに
他の人たちの「おさえ」アンテナに届けていくという
ステップを踏むことで、ブランドからの一方的な
メッセージではない情報として受け入れられる、というのが
“ライブマーケティング”の基本フレームである。
つまり「マスメディアによる補完」とは、
非マスメディアによる体感型施策をコアに捉え、
「その『接点』に誘導したり、またそこで起きている
『事実』を一般の人たちに情報還元するために、
マス広告やマスメディアによるパブリシティを活用する」
ということだ。


上記の本は「経験経済」というキーワードを用いて
イベント型施策で一部の消費者をライブ的に巻き込むという
ステップを踏んでから多くの人々に広げていくという手法の方が
キャンペーンはより一層効果的になると書かれていますが、
ここでいう「非マスメディア」の筆頭メディアはむしろ
「Webメディア」である気がします(当然イベントも今後
さらに重要になるとは思います)。

個人的な皮膚感覚でも理想的で効果的な情報伝播のモデルは
上記の様に、一部のコアファンをつくって大きく広げていく
というパターンである気がしますが、
現状の広告界におけるキャンペーンスクリプトはむしろ
上記のモデルとはまったく逆で「マス主導・非マスで補完」
であると思います。もちろん後者モデルの方が効果的なケースは
特に現状の日本においては多々あるとは思いますが、
しかし以前に比べるとそうでもなくなって来た感じがします。
広告とPRの融合が起きつつあるという感じでしょうか。

とはいえ「非マス主導・マス補完」のモデルは、
「キャズム」などの問題(情報収集の観点において
「とんがった人たち」と「わりと普通の人たち」の間にある
『深い溝』)などがあると思いますが、
海外市場においては本日の事例である「SONY」や
「ユニリーバ」などマーケティング力が非常に高い広告主が、
「バイラルCM」を戦術として使用し始めていることからも
情報伝播のモデルにパラダイムシフトが
起きつつある感じがします。

2008年6月11日水曜日

バイラルCM③海外事例1

バイラルCM特集、3日目の本日は海外における
バイラルCMの先駆的な事例である「ロナウジーニョ」を
起用したナイキの事例および、その後のナイキの
バイラルCM事例、合計4作をご覧頂きたいと思っております。

まずはロナウジーニョの事例から。



次に最近話題になっているNBAのコービーブライアントを
起用したかなり面白いバイラルCM事例をご覧ください。



3本目はマドンナの旦那のガイリッチー監督が手がけた
かなりクールなバイラルCM事例。



最後にサッカーのイングランド・プレミアリーグ、
「アーセナル」の超有望な若手選手「セスク・ファブレガス」を
起用したクレイジーなバイラルCM事例。



この4本のバイラルCMすべてに共通するのが
「これ本当?」という、現実か虚構かをみんなで論議する様な
計算がされていて、それが人々の間でウワサになるポイントに
なっていると思います。

最近なんかの本で読んだのですが、情報の広まり具合は
その情報の「あいまいさ」に比例するらしいので、
バイラルCMを制作する際の一つの指標には
なるのかもしれません。

明日は、メジャーなバイラルCM事例です。

2008年6月10日火曜日

バイラルCM②日本のバイラルCM

バイラルCM特集2日目の本日は、
日本における「バイラルCM」の事例。

まず日本で初めて成功したバイラルCMと言われている
カプコン「極魔界村」の事例をご覧頂けますか。
(申し訳ございませんが正式なバージョンではありません)



このバイラルキャンペーンにおいて重要な役割を果たしているのが、
日本初のバイラルエージェンシーである「ロカリサーチ」さんです。

このキャンペーン事例の詳細はロカリサーチさんのサイトで
とても良くまとまっているレポートが掲載されているので、
そちらをご覧ください。
↓ClickHere!
http://www.loka.co.jp/casestudy/index.html

現在、世界最大の動画共有サイトYouTubeには
1分間に10時間分の映像がアップされていると言われています。
つまりネット上は情報だらけの「広大な海」状態です。

だから、どんなに面白い映像であったとしても、
ただ単にYouTubeにアップしただけでは
勝手にバイラルするということは滅多に起きないそうです。
「バイラル発火」をさせるためには「火をつける仕掛け人」の
必要性が出てくるようです。

ロカリサーチさんは主にネット上で影響力がある一般個人の
αブロガーさんたちとの人脈を広くもっていて、
バイラルキャンペーンの際には、αブロガーさんの
ブログ上に動画広告を掲出してもらったり感想を書いて頂いたり
しています(もちろん好意的な感想とは限りません)。

これは「シーディング(種まき)」と言う活動らしくて、
情報拡散のルートを事前に計算して、影響力の高い
個人のブログやサイトに対して情報の種まきを行います。

この「シーディング」という作業は、ある意味では
これまでの「PR会社」的な動きと通じる感じもしますが、
「バイラルマーケティング」はこれまでの4マス広告の様に、
広くあまねく一人でも多くの人たちに情報のシャワーを
放射するというやり方ではなく、影響力がある一部の人に
情報を提供することで、そのカリスマを信奉する人たちが
伝道師の様に自主的に情報を広めていくという手法であるので
それだけに「やらせ的」なやり口はNGであり、
影響力がある一般の個人とのリレーションシップを、
いかに「日常から培う」かということが重要になると思われます。

個人ブログに動画を掲出する手法というのは
ある意味では「個人宅に看板を設置する」様なものであり、
一筋縄ではいかないものであると思います。
広告代理店や広告主だけでは、なかなかその様な
リレーションシップを継続していくことは困難だと思われます。

ビジネスにおいては、とかく「確実性」や「即効性」を
求められることが多いと思いますが「バイラル」の様に
どこまで広がるかが誰も予測できないギャンブル的な手法を
実行する場合は「ロカリサーチ」さんなどの
お力を借りる方が確実性があって良いと思います。

インターネットには、まだまだ恐ろしいぐらいの破壊的なパワーが
秘められている気がしてなりません。

2008年6月9日月曜日

バイラルCM①「サカナ男」

今週は5日間「バイラルCM」に関する事例を
取り上げていきたいと思っております。

「バイラル」は近年、かなり注目されている広告手法でありますが
細かい説明はネットで検索して頂ければ大量にヒットしますので、
ご存じでない方はそちらを見ていただいて、
まずはキャッチーな事例から取り上げさせていただきます。

「バイラルCM特集」と書いておきながら
いきなり「CM」の事例ではなくて申し訳ございませんが
「バイラル」的な「情報拡散」により
ムーブメントになったユニークな事例です。

今から約5年前の2003年9月に発売された
ナゾのCD「離婚(わかれ)た女房が店に来た日」の
イベント型プロモーション事例。

実施場所は、東急東横線の「学芸大学駅」周辺のビルの屋上で
「魚のオブジェ」が付いたヘルメットをかぶり
「赤いマント」をはおった男がギターを弾きながら
東横線の乗客たちに向かってアピール。

【学芸大学「サカナ男」※東横線の車内から見た写真】



男性の名前はkeybow(キーボー)こと伊藤清光氏。
このビル屋上でのパフォーマンスは、東横線の乗客である
女子高生たちから「あれ何?」的に口コミで爆発的に広がり
これがラジオなどでも取り上げられ大ブレイク。
「写メール」や「ブログ」も「バイラル的情報拡散」に寄与。
私自身は朝のワイドショーで2回ほどこの事例が紹介されているのを
見て知りました。

その後、彼は様々なメディアに登場し「日本クラウン」から
メジャーデビュー。
デビューシングルはなんと「オリコン10位」を獲得。

学芸大学の屋上で歌を歌うというプロモーション“だけ”で
これだけの結果が出たのです。



この事例は「バイラル」というよりも「口コミ」の持つパワーを
しらしめる事例であります。広告業界では以前から「口コミ」や
「PR」のパワーはわかっていたものの、なかなか効果が数字で
検証できなかったためビジネス的な優先順位は低かったと思います。
「バイラル」も根っこは「口コミ」と同じ部分が多々あると思いますが、
しかし近年「インターネット」の爆発的な進化および普及により
「バイラルの広がり」を「数字」などで「可視化」できる様に
なってきたためビジネス手法としての有効性が見えて来たと思います。

またこの事例には、もう一つポイントがある気がします。
この楽曲は「オリコンで10位」を獲得したにもかかわらず、
おそらくこの事例のことをご存じない方は結構多い気がします。

これまでのマス型の誰もが知るキャンペーンによるヒットだけでなく
一部の人間が「支持基盤」になって、その人たち自身が自主的に
ある特定のタイプの人たちに情報を伝播していくという
セグメントされた市場での「ブーム」や「ムーブメント」が
以前にも増して出現している様に思います。
今後も「みんなが知らないブーム」はより増えていく気がします。

今後「マーケティング」に関しても、市場をざっくりと
大雑把に見るのではなく、クラスター(ある属性別のターゲット)を
しっかり見極めていくことが重要になっていくと思います。

明日は、日本における初のバイラルエージェンシーである
「ロカリサーチ」さんの事例です。

【おまけ】
キーボーさんの活動10周年を記念した映像がYouTubeに
アップされてたのでご覧下さい。
(こちらの事例は若干イタイ映像であり視聴数も少ないので、
 ぜんぶ見て頂く必要は無いと思います)

2008年6月8日日曜日

驚きの白さ。

本日は、洗剤の「Tide」が実施した
ユニークな「商品陳列」事例。



スーパーマーケット内の「牛乳売場」に
「Tide」を展示することで、
「驚きの白さ」になるという「洗浄力」をアピール。

個人的には、くだらないけど効果もありそうな気もしますが、
しかし多くの人にとっては、誰かが「間違って置いた」と思うか
もしくは「気にもかけない」人も多い様な気もします。

2008年6月7日土曜日

スケボー・ハーフパイプOOH。

本日は、洗面台を利用したスケボーの会社のOOH事例。



単に「ハーフパイプ」と形状が似ているというだけで
実施された広告だと思われます。
しかし、もし実際にこの広告を見かけたら
結構、ほほえましく思うような気もします。

2008年6月6日金曜日

運動しよう。

本日も、かなり非常識な新聞広告事例。
タブロイド新聞の「風俗欄」のど真ん中に広告を掲出。



キャッチコピーは「STOP PAYING FOR IT」
        (風俗にお金を払うのは、やめよう)

広告主は「スポーツクラブ」

つまり、風俗に行くぐらいだったら
「運動して発散しよう」というメッセージ。

かなりクレイジーかつくだらない広告なようでいて、
結構効果もありそうな気がする広告事例。

2008年6月5日木曜日

超非常識なOOH。

本日は「男性向け雑誌」のかなり非常識なOOH事例。

映像プロジェクターを使用してイギリスの国会議事堂に、
ポルノ女優たちの画像を投射し続けました。



日本でやったら大変なことになると思われます。

2008年6月4日水曜日

かなり濃厚なケチャップ。

本日は、先日も取り上げさせて頂いた
濃厚なケチャップ「ハインツ」の雑誌広告事例。



かなり濃厚なケチャップなのでフォークが立ってしまうという表現。
実際にはフォークが立つわけはないので、日本では
誇張表現(オーバープロミス)で実施は困難だと思われますが、
海外の場合は、その辺のジャッジメントが大雑把なケースが多いので
良くも悪くもインパクトがある表現が多いです。

2008年6月3日火曜日

薄いデジカメ。

本日は、かなり薄いデジカメのグラフィック広告事例。



商品のビジュアルを出さずして、より商品の存在感を
訴求出来ている表現であると思います。

デジカメの薄さがユニークに伝わるので面白いと思いますが、
「指を立てているポーズ」に表現上もう少し意味があれば、
より面白い表現になった様な気もします。

2008年6月2日月曜日

かなりマニアックな広告。

本日は、マニアックなことこの上ないグラフィック広告事例。
内容をご説明する前に、とにかく見て頂けますか。


↑一つ目は大勢の「ミーアキャット」がボーリングのピンに
なっていて、まさにボールが当たって転げまわる直前。


↑2つ目はスキージャンパーが「羊の群れ」に突っ込む直前。

この広告のクライアントは「効果音を作成する会社」です。
タグラインは【ANY SOUND YOU CAN IMAGINE.】
(あなたが創造できる音なら、どんな効果音でも作成します)


「ミーアキャット」や「羊たち」のありえない叫び声の様に
簡単にはイメージできない効果音であっても
制作できるという点を訴求。

この広告表現はかなりマニアックですが、
この広告課題そのものがマニアック性を内包しているので、
このケースにおいては、この表現はアリな気がします。

2008年6月1日日曜日

透明人間OOH。

本日は映画「透明人間」のOOH広告事例。



「透明人間」が犬を散歩させているという内容。
バカですよね(イイ意味で)。

犬がよっぽど訓練されてないと実施できなさそうです。
それ以前に日本では間違いなく実行不可能だと思います。
この事例はたしか南米の事例だった気がしますが
「東南アジア」や「南米」はものすごく乱暴かつパワフルな
広告表現事例が多くて、スゴイなと思います。